古代中国道士たちにとって、錬丹術もまた長生のための術のひとつでした。仙人となるための霊薬、外から取り込む物質として「外丹」が求められました。
主原料は「丹砂」、水銀を生むための硫化鉱物です。中国辰州(湖西省あたり)でよく産出されたため、辰砂とも賢者の石とも呼ばれます。
丹砂(硫化水銀)、汞(水銀)、鉛などを調合して爐鼎にて火にかけ、焼煉しました。
丹砂は外丹の原料でもあり、塗料や顔料の朱(魔除けの色)として、また漢方原料としても重宝されました。辰砂発掘地を見つけた者は巨利を得たと言います。
日本でも三重、奈良、徳島などが産地であり、「丹」を生む地として丹生の名が付いています。水銀は「伊勢白粉」の原料としても使われ、「軽粉」「ハラヤ」と呼ばれました。
甘汞(塩化第一水銀)として精製されたものは女性用化粧品として使われ、梅毒に対する治療薬ともなりました。
😺〜水銀の煉精方法〜😺
空気中で400℃〜600℃に加熱します。
水銀蒸気と二酸化硫黄が出来、水銀を冷却凝縮します💎
硫化水銀(II) + 酸素 → 水銀 + 二酸化硫黄
HgS+O2 → Hg+SO2
漢方薬として辰砂(朱砂)を使う場合、目的は鎮静、催眠です。辰砂が含まれる処方は「朱砂安神丸」と呼ばれます。
有機水銀より毒性は低いとされますが、メチル水銀やジメチル水銀、有機水銀の高い毒性は現代ではよく知られるところです。
古来、永遠の生を得たり(朱が血液の赤に通じるという類感呪術的思想)、美容に効能があると信じられ、秦の始皇帝もまたせっせせっせ食された記録もあり、唐の時代の皇帝達も幾人も亡くなられ、多くの権力者達もまた水銀中毒で命を落とさたのでした😥
エジプトに起源を持つ錬金術ですが、中国では錬丹術として、「成仙、昇仙」のための仙薬を求める術となりました。
葛洪は「抱朴子」において金丹道として成立させましたが、辰砂→水銀への還元→硫黄が反応→辰砂に還るプロセスに永遠性(不老不死)を見出したのです。
しかし外丹術はたくさんの方々の死を招いてしまいました。
この経験から不老長寿の丹薬を自らの体内、丹田に作り出そうとする「内丹」の思想が生まれました。
不老長寿の丹薬を作るため内観存思の身体技法を用います。任脈と督脈に意念を用いて気を動かし金丹を作る身体技法です。
身体を爐鼎に見立てます。下丹田を爐、中丹田・上丹田を鼎と見立て、内丹の要素としての三味薬(精・気・神)を爐鼎に送り込んで練り、黄庭(脾臓のあたりに金丹を生じさせます。
これは下丹田,中丹田,上丹田の3丹田に気を循環させ、丹を練り上げる「小周天」の行法となりました。