有能グリア細胞

2026年08月27日 23:08
カテゴリ: かわいい脳

有能グリア細胞

前回は化学的・電気的信号を受信し伝達する神経細胞、可愛いニューロンの構造や楽しい働きについてご紹介しました🌟

このニューロンの構造を支え、補完的に情報処理を行い、サポートする機能を持つのが神経膠細胞とも呼ばれるグリア細胞です。
脳ではニューロンたちの環境を維持し、ニューロン間のコミュニケーションを調整し、代謝を支持してくれています。
そしてダイナミックな情報交換やニューロンの制御も自ら行います😊

グリア細胞は
・シナプス伝達や脳血流を制御する「アストロサイト」
・アストロサイトに似た役割を持つ「上衣細胞」
・軸索の絶縁体、髄鞘(ミエリン)を作り、神経伝達速度を高める「オリゴデンドロサイト」
・シナプスの形成や除去、不要細胞の除去に働く「ミクログリア」
からなります。

【アストロサイト】
染色すると星のような形状が見られ、星状膠細胞、アストログリアとも呼ばれます⭐
多彩な機能を持ちますが、脳の物理的な構造を支えているのは頼もしい限りです。

・細胞毎に各々が担当するニューロンの構造を支えており、アストロサイトの終足が接触するニューロンは安定性が増しています。
・血管基底膜と突起が接しており、血液脳関門として物質交換の制限を行い、神経細胞を守っています。
・細胞膜上には神経伝達物質の輸送体があり、ニューロン同士の神経伝達速度を助けています。
・ニューロンが活性化するとカリウムイオンを放出し濃度を上げる、また過剰なカリウムは回収し除去するなど、細胞外イオン濃度調節に働きます。
・オリゴデンドロサイトの髄鞘形成活性を促しています。


【上衣細胞】
脳室の壁や、脳室周囲器官を構成する細胞です。

脳脊髄液(脳漿)は脳室やクモ膜下腔を満たし、脳の水分調節を行い、脊髄神経鞘の中を流れリンパ液と合流するなど老廃物運搬にも働くとされます🌊
上衣細胞の多数の絨毛や、上衣細胞から伸び脳表面に達する突起は、脳室内の脳脊髄液循環、脳実質への物質交換、運搬の役割を担っていると考えられています。


【オリゴデンドロサイト】
希突起膠細胞とも呼ばれ、髄鞘産生の役割を担っています。

ニューロン軸索は、絶縁体であるミエリン鞘(髄鞘)が存在することにより電気信号の散逸が防がれ、活動電位の伝導速度が高まります(跳躍伝導)。
オリゴデンドロサイトは特殊な細胞膜を軸索に巻きつけ、このミエリン鞘を形成します。
またランビエ絞輪にイオンチャネルのクラスター化を誘導しており、跳躍伝導を速やかにしています。
成人脳で損傷がある場合、軸索の再生はほぼ起こらないとされますが、ミエリン鞘に軸索伸長阻害因子があるためとされています。
これは神経回路の形成後、大きく変化しないよう安定性を保つ役割を持ちます。


【ミクログリア】
小膠細胞とも呼ばれます。
他の中枢神経系細胞は、発生の由来を外胚葉に持ちますが、ミクログリアは多くの内臓発生が由来する内胚葉から発生しており、造血幹細胞から分化しています。

中枢神経系で免疫を担当しており、常在性マクロファージと呼ばれています🙂
5〜20%の割合で点在しており、細長い突起をダイナミックに動かし、軸索やシナプスに接触して様子を見ながら、その働きを調節しています。
私たちが病む時やストレス下でミクログリアは活性化され、肥大化や増殖を行い、細胞内に集結します。そして細胞膜受容体を含む様々な分子の発現を変化させます。
病巣部への移動、壊死細胞や細胞外のゴミタンパクを貪食し、炎症性因子、細胞障害性因子、栄養因子などの産生放出を引き起こします。

ミクログリアが産出する様々な物質は神経細胞を壊死に導くこともありますが、ニューロン発生を促進したり、神経調整の役割も担っています。
学習や記憶に重要な役割を担う脳由来神経栄養因子(BDNF)もミクログリアが産出しています。
またミクログリアが分泌するインスリン様成長因子は、ニューロンの生存維持のために重要とされます。
その他、成長時におけるシナプスの刈り込みや、日内リズム形成に関与するなど、幅広い活躍をしています。
ミクログリアのように活発に動き、遊走して様々なことを行う神経細胞は面白いですね✨

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