三木成夫先生の視点から、原初の生物に見られる「植物的生」と「動物的生」の分岐の過程について述べました。
三木解剖学の二柱となる、この生物の2つのあり方は動物において、体組織分類として以下の2つに識別されます。
🌳「植物性器官(消化・生殖系)」
🐯「動物性器官(感覚・運動系)」
この2系統から発生学や進化の考察がなされました。
ザビエル・ビシャー(1771〜1802)
18世紀の生理学者、解剖学者であるビシャーは人体の器官を21種類に識別し、疾病は組織にあるとの説を立て近代組織学の礎となり、近代病理学への架け橋となりました。
三木先生の見立てはこのビシャーの分類に由来します。
先に述べたように「食と性」の波、つまり「栄養ー生殖」は動植物共通の過程であり、ビシャーはこれを「植物性過程」、そして「感覚ー運動」は動物独自のものであるとし「動物性過程」としました。
🏵植物性過程に関係する器官、機能
消化吸収・血管脈管・泌尿生殖
🐯動物性過程に関係する器官、機能
感覚・神経・運動
ヒトを含め、動物たちの身体には植物的なるものと動物的なるものの共存がみられ、植物性のものは「内臓」として深部にしまい込まれ、動物性のものは「体壁」=入れものとなりこれらを持ち運ぶようになりました。
1個の卵細胞分裂(個体発生)の過程、またアメーバ(単細胞生物)が多細胞の動物に分かれていく過程(宗族発生)においても、双方まず植物性器官(腸)があらわれ、次に動物性器官が出来てきます😺
左・卵細胞 右・アメーバ
三木先生は解剖学を小川鼎三先生に学び、ゲーテ形態学(モルフォロギア)の影響を受け、ご自身の学問を「生命形態学」とされました。
生物学も物理学も、科学は近代より、更に細かな分割、要素の還元や機能の分析を行ってきました。
流体運動の「原形としての螺旋運動」で述べように、生を「根源」のメタモルフォーゼの表現と見たのがゲーテの自然科学です。
三木先生の思想はその全体論的科学の流れの中にあります。体に現れ、またしまい込まれた部分が担う「機能」「部品」としての構造や働きを、切り取られた「断片」と見るのではなく、機械的合理主義に偏らず、時空間を含めたより統合的な波動、リズムとしての「生」の観点から解剖学、発生学を読み解かれたものです🦎🌞
科学としての確実性に充分な注意を払いつつも、生に対する深い詩的洞察が伺える記録は、今でも人々に読み継がれ鮮やかな印象を保ち続けています✨